腹式呼吸と胸式呼吸

呼吸は成人であれば1分間に15~20回くらい行っているものです。1日に換算すると2~3万回という事になります。

この呼吸は自分の意志とは関係なく行っている(不随意)こともあれば意識して行う(随意)こともできます。

最近では腹式呼吸が体にもたらす効果というものが着目されていますそこで今回はこの呼吸様式の違いを書いてみようと思います。

腹式呼吸と胸式呼吸

大きな違いはどの筋肉を利用して呼吸を行ているかという違いです。腹式呼吸では横隔膜という肋骨の下からドーム状になって背骨の前面につながっている部分ですが、この上下動によって呼吸を行っています。

それに対して、胸式呼吸は肋骨の間にある3層の肋間筋という筋肉を主に使って行っている呼吸です。

どちらがより体に良いかという事はありません。ただ、腹式呼吸を行った方が自律神経の内、副交感神経というリラックスさせる神経を活性化できるという観点から、ストレス社会における自律神経調整方法として注目を集めていると思われます。これに対して胸式呼吸は体を活発に働かせるための交感神経を活性化させるとされています。

腹式呼吸の体感

腹式呼吸は横隔膜という深部にある部分を使う呼吸ですので、なかなか正しくできているのかいないのかを判断するのは難しいです。そこで強制的に胸郭(肋骨に囲まれている部分)の動きを制限して行ってみると良いかもしれません。

1.うつ伏せで呼吸してみる

 うつ伏せになることで胸は床に押し付けられます。その状態で呼吸をした際に背中やわき腹が拡張するように呼吸ができているか確認してみる方法です。

2.手の甲と甲を合わせて呼吸してみる

 座っていても、立っていても、仰向けでも構いません。初めに肘を伸ばしたまま両腕を挙げます。座っている場合、立っている場合は床と平行になるくらいまで、仰向けの状態では、指先が天井を向くところまで挙げていきます。

 両手が胸の前にある状態で、今度は手の甲と甲を合わせます(腕がクロスする格好です)。

 この状態で胸郭の動きが制限されますので呼吸を行ってみるという方法です。

息を吸った際にお腹を膨らませ、吐いたときにお腹を凹ませるというやり方もありますが、腹式呼吸は横隔膜の上下運動です。お腹を膨らませたり凹ませたりするという事を指標にしてしまうと、実は呼吸している際に肩も上下動していることがあります。これでは胸式呼吸も行っている状態です。先ほども書きましたが、普段意識しない横隔膜を意識的に動かすわけですから、焦らず行ってみてください。