眼精疲労対策に姿勢と東洋医学

パソコンやスマホなど今では必要不可欠なものとなっているツール、目には負担をかけてしまっているのは仕方のない事です。

当院では、眼精疲労を訴える患者さんに対してはいきなり目の周辺のアプローチをするよりも姿勢の改善を整体で、また目は東洋医学では肝と関連が深いのでその点でもアプローチをするようにしています。

目の動きと後頭部

眼球を動かすには外眼筋(上直筋、下直筋、内側直筋、外側直筋、上斜筋、下斜筋をまとめています)が作用しています。この外眼筋が働くときに、後頭部の深い部分にある筋肉である後頭下筋群が外眼筋の支持筋として機能しています。

そこでこの後頭部の筋肉の緊張をマッサージや鍼を使ってとることで外眼筋の緊張も間接的に緩め血流を改善させることで目の動きをスムーズにして眼精疲労をとっていくというアプローチをしていきます。

こんな姿勢をしていることありませんか?この姿勢では、後頭部の筋肉も緊張しますし、見ている画面が小さいため目の動きも最小限になり外眼筋を働かせないまま緊張を生んでしまいます。

スマホの画面を大きくして目の動きを促していくことは現実的ではないため、施術では姿勢からアプローチをすることが多くなるというわけです。

視力の回復をツボ押しで…できない可能性が高いです。

「ツボを押して視力の回復が図れないか」何となくできそうですが、おそらく無理です。外眼筋の緊張をとって血流を良くすることで視力が回復できるという考えから目の周辺のツボ押しや目の動きを良くするトレーニングがありますが、これは眼精疲労は改善させることが可能かもしれず、それによって何となく物がはっきり見えるようになる感覚から「視力の回復」ととらえているのかもしれませんが、実際その状態で視力検査を行えばほとんど変わっていないでしょう。

眼鏡やコンタクトなどで視力を矯正している方にとってツボ押しやトレーニングで改善できるのであればこんなに素晴らしいことはないですが、そこまでの効果は望めないというのが現実です。

そもそも視力とは物を見る際の像を目の網膜(特にピントをしっかり合わせる場合は網膜の黄斑部中心窩に合わせる)に焦点を合わせる能力です。

焦点が網膜の手前で結ばれる状態が近視という事になり、網膜の奥で結ばれるのが遠視です。角膜から網膜までの距離を眼軸長と言いますが、眼球も成長とともに大きくなり、眼軸長も変化していきます。それに合わせて、焦点を合わせるための水晶体の厚みを変化させて焦点を合わせることに寄与しているのが毛様体から始まる毛様体筋という筋肉です。

この眼球の形が横長く変化していけば、眼軸長は伸び、水晶体の厚みでは対応できなくなることで焦点が網膜手前になり近視となります。これを矯正するには眼鏡やコンタクト、夜間コンタクト、外科的にはレーシックやICL(眼内レンズ)のみとなります。

外眼筋は眼球を動かす筋肉であって、眼軸長を変化させるものではない(もしかしたら今後の研究などで影響与えうるとなるかもしれませんが)ので外眼筋と視力の間には相関関係が薄い(無い)と言えます。

唯一、もしかしたら水晶体の厚みを調整している毛様体筋の緊張・痙攣が原因で水晶体の屈折率が衰えて近視になっている(偽近視や仮性近視)のであれば毛様体筋の緊張を改善することで視力は改善する可能性があります。近くの物と遠くの物を交互に見るなどがこの毛様体筋の緊張緩和につながる方法でしょう。

ただ、眼精疲労には近くの物ばかり見たり、眼球を動かさずにいる状態から時折、遠くのものを見たり、眼球運動をすることは有効になりますので実施してみてください。

目と東洋医学

東洋医学では、五臓六腑の内、肝が目につながるとして肝のトラブルが目のトラブルにつながると考えます。

肝は、全身の気を巡らせ精神状態を安定させたり、血を蓄えて他の臓腑や器官に分配する働きをしています。肝はストレスに影響を受けやすいため、リラクゼーションを心がけたり、程度な酸味が肝を滋養しますので柑橘類を食べてみるなどの養生が有効です。また、足の親指と第二趾の間にある行間(こうかん)や太衝(たいしょう)というツボをいた気持ちいいくらいの強さで押してみるのも手です。