妊娠中に気をつけたいツボ

ネットや本でも妊娠中に刺激を入れることを避けるべきツボというものが紹介されています。代表的なものは肩井(けんせい)、合谷(ごうこく)、三陰交(さんいんこう)です。

今回はそれらについて書いてみようと思います。

肩井・合谷・三陰交

 

肩井と合谷と三陰交は妊娠中に刺激を入れることに注意を払わなくてはならないツボの代表です。これは『宋書』『銅人腧穴針灸図経』『千金要方』『類経図翼』など多くの中医学の古典の中に妊婦へ鍼を施すと、堕胎につながるという内容の記載がみられることから現在でも妊娠中にはむやみに刺激を入れてはならないツボとして認識されています。

一方で、三陰交への刺激が堕胎につながらないとする報告も多数あることも事実です。三陰交などは安産のツボとされることもあります。

妊娠中の母体

妊娠中の母体の特徴を東洋医学では「血を以て用となす」としています。五臓六腑にある血は衝脈や任脈を通して胎児にそそいで栄養としているという事です。つまり母体は血が不足状態で、その代わり気が盛んという状況に陥りやすくなります。

そんな母体の特徴から気を補う性質をもつ合谷と、血の流れを促す三陰交を使えば、足りない血はもっと足らなくなり盛んになっている気は更に盛んになって結果として胎児に必要な血が届けられなくなるというのが堕胎のツボという事につながっているようです。

ツボの性質の理解、運用の仕方、1人1人の母体の状態を正確に判断する事を前提に、安産のためのツボにもなりえます。たとえそうであったとしても、ただでさえ無事に妊娠期間を送り安産を願い普段とは違う体調と精神状態になりやすい妊婦さんにとってしっかりとした説明をしたうえで利用しなくてはならないツボではありますね。

 

 

肩こりを感じるときに押すとズーンと響く感じのするツボ、肩井。

妊娠中も肩こりはあります。そこでこの肩井を強く押してしまいたくなりますが、ここは堕胎のツボとされています。中医学の古典『千金要方』には難産、分娩促進、新婦禁鍼と記載され、『類経図翼』にも同様に書かれています。