つわり セルフケア

前回は東洋医学的な視点でつわりを考えてみました。つわりの要因の1つに「胃気上逆」という状態があることを書きましたが、その背景には3つの原因があるとしました。

3つのタイプ

・脾胃が弱まってしまった。

・肝の気が停滞してしまった。

・痰湿が原因となっていた。

それぞれは以下のようなことが考えられます。

脾胃が弱まって起こるつわり

主に、吐き気を覚え、食べ物のにおいでも気持ち悪くなり、食べることで吐いてしまいます。またお腹の膨満感を強く感じ、手足のだるさや倦怠感を感じ、眠気も強い場合がこのタイプと考えられます。

肝の気が鬱滞しているつわり

もともと肝はストレスに対して影響を受けやすいので、ストレスフルな状態の方は陥りやすいです。吐き気は先ほどと同じですが、苦みや酸味を感じるえづく感じや脂っこいものを嫌がる傾向にあります。そのほか、わき腹が張ってきて痛んだり、げっぷを多くするようになったり、ため息をつき、精神的に抑うつ傾向が見受けられる事もこのタイプの特徴です。また、肝の気が炎上するようなものですから冷たいものを摂取したくなり、顔も火照ったようになりますが、手足は冷えているような状態です。

痰湿によるつわり

吐き気、食欲不振、吐いた場合水気が多くなりやすいという傾向があります。また胸がむかむかするようになったり、味がよく分からなくなったり、口の中が苦みというより若干甘みを感じるような粘つきを覚えることもあります。全体的ですが、特に手足のむくみやだるさ、冷えを感じ、体を冷やしてしまうと下痢になりやすくなる傾向にあります。

ツボ押しでセルフケア

多くの場合、つわりは胃の気の上逆によるものでした。本来は、「脾胃虚弱によるつわり用のツボ」「肝気鬱滞によるつわり用のツボ」「痰湿によるつわり用のツボ」と分けて紹介するところですが、それは煩雑になりますので、今回は共通して覚えておくと良いツボをご紹介していきます。

胃の気が上逆して上ってきてしまうのを押さえるツボは、「足三里」「中脘(ちゅうかん)」「膻中(だんちゅう)」です。まずはこの3点にセンネン灸を行ってみてください。もともとつわりを起こす方の多くは手足の冷えなどを持っています。ほのかに暖かいと感じる刺激をツボに使ってみていただくとよいと思います。もちろん指圧など押してみてもよいですが、その際は「中脘」はお腹にあるツボですので、あまりお勧めできません。

また吐き気のツボ「内関」「関衝」「公孫(こうそん)」です。これらは色々な吐き気に使えるツボです。つわりに限らず、覚えておいて、万一吐き気を感じるようなときに3つを押してみて、一番効果的な場所を持続的に押してみると良いと思います。

図のうち膻中と中脘というツボは1つしかありませんが、その他のツボは左右に1つずつありますので左右押してみてください。

膻中は体の前面の正中線上で両乳首を結んだ線の交差点にあります。胸骨という骨の上にあります。

中脘は体の前面の正中線上でみぞおちとお臍のちょうど中間部分です。

足三里は足首を上にあげると盛り上がるスネの筋肉の膝に近い部分です。

内関は手のひら側の前腕部分の真ん中のライン上で、手首のしわから人差し指、中指、薬指をまとめた指3本分上の部分です。

関衝は手の薬指の爪の付け根の外側部分です。

公孫は足の内側、母指球の脇(ちょうど外反母趾が出やすい部分)から人差し指、中指をまとめた指2本分かかとに進んだ部分です。

おおよその場所は図と上の説明でイメージしていただき、より詳しいツボの位置はお手数ですがネットで検索してみてください。

*センネン灸などを行う場合は火傷をしないように注意して行ってください。外したセンネン灸を捨てる灰皿なども用意してから行ってください。センネン灸がない場合は5秒ほどかけて指や指圧用の棒などを使い適度に刺激を感じるくらいまで押し込み、そこから5~10秒ほど押し続け、5秒ほどかけて圧を抜く、このくらいの感じで押してみてください。

妊娠中の反応として多くの妊婦さんが経験する生理反応の1つであるつわりは、「病気」ではないと言われやすいです。しかし、それが辛く不快に感じてしまうこともおおい状態で軽減できるものであるならば軽減していきたいものだと思います。今回のツボで少しでもそれができたら良いと思います。