気象病とセルフケア

前回は気象病を自律神経の乱れによるものとして考えてみました。今回はそれを少し理屈的に書いてみようと思います。

天気と健康のメカニズム

前回も書きましたが、人の平衡感覚などは内耳の機能によるものですが、その内耳に気圧の変化を感じ取る場所があり、気圧が急激に変化することで内耳の中で「体のバランスが崩れた」という錯覚が起こります。しかし、人間は目から視覚としての情報も入ります。この時に視覚的には問題はない、内耳ではバランスが崩れたという双方食い違う情報が自律神経に混乱をもたらし、交感神経が興奮するのではないかという事が気象病のメカニズムの一因として考えられています。

しかし、もし視覚と内耳の混乱であるならば、盲目の方には気象病は起きえないでしょうか。もしかしたら、内耳の気圧のセンサーに対しての急激な変化のみでも自律神経の乱れは起きえるのかもしれません。

実のところ、内耳の気圧センサーの所在や器官すら明確になっておらず、おそらくは内耳にある外リンパと内リンパの差から生まれることかもしれませんが、すべては仮説に基づく説明です。しかしながら、内耳の平衡感覚と視覚のずれが車酔いの原因になることから、気象病に悩まされている方が酔い止めの薬を飲むことで改善するという事実もあることです。

天気と健康にどのような関係性があるのか医学的な回答はまだまだ解明されていませんが、今のところ内耳が関係し、自律神経の乱れが引き起こされることで様々な症状が体に出るという方向から気圧による頭痛やめまい、関節痛が起こりえると考えるのはそう無理はないように思います。

自律神経が乱れるとなぜ様々な症状がでるの?

痛みが長く続くことで、その痛みに対して過敏になり、また増悪することがわかっています。慢性的な痛みは脳に強いストレスを与えます。すると脳の一部に変化が生じ、不安やうつなどの精神障害が起き、痛みがさらに増悪していきます。このような負の連鎖に陥ると、痛みだけではなく気分の落ち込みや体全体の痛みなどに変わっていきます。

気象病によって交感神経が興奮状態になると慢性的な痛みが増したり、血管の収縮によって血圧が上昇するなどの変化が体に起こります。このような変化が多くの多岐にわたる症状を体にもたらすと考えることができます。

対処

対処法は前回、そして前々回までに書いたように自律神経のケアが最優先ですが、先ほども文中に書いたように酔い止めも有効なケースがあるようです。

そして内耳の関係があるのであれば耳のセルフマッサージも有効です。

耳を優しくつまみ上下前後に耳の周辺の皮膚にテンションがかかる程度の力でゆっくりと引っ張ります。その後、耳を中指と薬指の間に挟みその他の指や手の平は耳の周辺の皮膚に触れながら、手の平全体で前後に円を描くように耳と一緒に周りをマッサージしてあげます。

車酔いのツボとして内関というツボを押してみるのもいいでしょう。

内関は手首のしわから肘に向かって人差し指、中指、薬指を合わせた指3本分上のところにあるツボです。

まずは自律神経へのケア、そして気圧の変化によって症状が何か出そうになったら、耳マッサージやツボ押しなどできることをやってみてください。