五月病

上手に休みを取れば今回は10連休ともなるGWが終わり、いよいよ仕事や学校も本格的に動き始めた時期になります。本来であれば、しっかり休養をとり、新しい環境で頑張りたいと思っている時期に、なぜかやる気が起きず、逆に疲労感が強く感じ始めているという方もいらっしゃると思います。

このような状態は、いわゆる一過性の軽度の鬱のようなもので、『五月病』などと呼ばれたりする状態です。

今回は、この五月病を東洋医学の視点から考えて、対応策を書いてみようと思います。

五月病と関係の深い五臓は、肝です

先ほども書いたように、一過性の気持ちの沈み込みが「五月病」と言われています。気持ち、精神に関係する五臓は『』というのが東洋医学の考え方です。

肝は疏泄をつかさどり、血を蔵することを主にしています。疏泄とは、東洋医学において、気や血、水分の流れをコントロールすることを言います。つまり肝は体のあらゆる流れをコントロールしています(新陳代謝を管理している事とも言えます)。特に気と血に関して重要な働きをしており、血を蔵すというのは、日中は体にエネルギーとして血を巡らせて活動的になる一方、夜になれば巡っていた血は肝に戻り、スムーズな睡眠を促しているという事になります。

これらの事から肝は、精神の安定化、活動と休息を担っているものとなります。その他にも爪や目、関節運動に関係しているとされています。

なぜ五月病に?

肝は精神状態に関係すると書きましたが、なぜ、その肝の状態が悪くなるのでしょう。実は、東洋医学には季節に対応している五臓がそれぞれあります。春は肝、夏は心、長夏(日本では梅雨時でしょうか)は脾、秋は肺、冬は腎です。

春、様々な植物が一斉に芽吹くように、春は気がどんどんと成長し上昇する季節です。そのつきあがるような気が肝によってコントロールされ活力となります。しかし、そんな成長につながる気も元をたどると、その1つ前、冬の時期に影響を受けています。冬は活動的というよりは、しっかりとエネルギーを貯め、蓄える季節です。この冬にエネルギー(気)を貯めておかず、春に備えておけないと活力の源である気は不足すると、肝がうまく働けなくなります。それが精神の不安定さという形で現れる時期がこの5月に当たるために「五月病」という形で体に出てきていると考えます。

対策

もとをたどれば冬の養生につながるのですが、終わった季節を考えても仕方ありません。幸いなことに五月病は何度も書いていますが、一過性の変化です。とりあえずは直接関係している「肝」をしっかり働かせることを考えることが大切です。

ツボ

太衝(たいしょう)…肝に属するツボはいくつもありますが、太衝は肝の原穴という重要なツボです。足の第一趾と第二趾の間にあります。

足三里(あしさんり)…これは胃に属するツボですが、肝と胃はつながりがあり、消化器系に負担がかかっていると感じるときはこのツボもお勧めです。場所は、膝に近いすねの筋肉にあります。

百会(ひゃくえ)…精神の安定に使われるツボです。頭のてっぺんにあります。

いずれも5秒間、いた気持ちいいくらいの強さで押して、離すというのを5回から10回くらいおこなってください

食べ物

肝を滋養する味は「酸味」となります。酸味のある食べ物を意識的に摂ってみてください。柑橘類やイチゴ、キウイなどですね。

その他、ニラや竹の子、春菊などや、レバーなども肝に働きかけます。

ただし、肝と胃は影響しあっています。あまり過度に食べ過ぎることは避けてください。