つわり対策

つわりは多くの場合、妊娠初期の安定期と言われる4か月目までの間に出やすい妊娠中のトラブルの1つです。この原因は様々ですが、今回は、このつわりの原因を東洋医学的に考えてみて、それに対して自分自身でできるセルフケアを紹介していきます。

つわりの原因~東洋医学的に~

結論から言えば東洋医学的につわりを考えると「胃気上逆」という状態です。しかし、この状態になるには様々な要因があります。

主に考えられる東洋医学上のつわりは「脾胃が弱くなって起こる」「肝の気が鬱滞しておこる」「痰湿によっておこる」という3つが考えられます。東洋医学では女性の生殖器全体をまとめて女子胞といいますが、これと密接に関係するのが衝脈と任脈という流れです。

このうち衝脈は胃の流れ(胃経)に大きくは属している流れです。

妊娠は衝脈と任脈から女子胞に血の流れがあり、かつ、生理のように、それら集まった血が流されずとどまり女子胞を満たしている状態です。だからこそ、胎児に栄養がいきわたります。

つまり、胎児を滋養するために通常の状態よりも衝脈や任脈は盛んになっている状態ともいえます。この盛んになった勢いは関係している胃にも影響を与えます。もし、先ほど挙げた原因のように「脾胃が弱くなっている」状態ですと、衝脈の盛んになった力の影響を胃が受けすぎてしまいます。衝脈の自然に旺盛となった力が、弱くなった胃に影響を与え、上逆していく状態(気が上に上昇する力が強い状態で、胃気上逆という状態)となる、これが脾胃の弱いことによっておこるつわりとなります。

また、「痰湿によるもの」も実は、脾胃と深く関係しています。なぜなら痰は体の余計な水分のことで、湿は湿気の湿、つまり体に余計な水分がある状態で発生しやすくなります。この「痰」も「湿」もコントロールしているのは「脾」ということになっています。脾が弱くなることで痰湿が生み出されやすくなるのか、余計な水分、痰湿があることで脾が影響を受け、脾が弱まるのかすると胃気が上逆していきます。

もう1つの「肝の気が鬱滞する」ことによるつわりは、気と血の関係が影響しているつわりです。東洋医学において陰と陽という対極した2つの関係があります。気と血にもあります。気は陽に属し、血は陰に属しています。この陰陽の関係はシーソーのようなものです。一方が強くなれば、他方は相対的に弱まるという関係です。肝という臓器は「血を蔵す」と言われる場所です。妊娠によって女子胞に血が集まってくるのですから、肝からは本来貯めるべき血は少なくなります。血が不足するような状態です。この状態では、相対的に肝の気はうまく働けずたまっていくことになり、肝の気が鬱滞することになります。肝にその陰部分である血がなくなってエネルギーである気だけがそこにたまっていけばオーバーヒートを起こすように肝の気は上逆していきます。そして熱を帯びるようになると肝火上炎という状態へ移行します。もともと肝と胃は近くにありお互い影響しますので、肝と胃がうまくバランスを保てず(肝胃不和)、肝火上炎となればそれが胃に影響を与え胃気上逆をもたらします

つわりとは、東洋医学的に考えると、胃気上逆という状態で、それが何によってもたらされているのかに違いがそれぞれあるといえます。

次回はこれらタイプ別のセルフケアを書いていきます。