触れることからわかること

学生対象の鍼灸セミナーをしていて「ツボがわからない」「骨がうまく触れない」など触診に関しても疑問や難しさを感じることが多いようです。

触診の大切さ

触診は、実際の施術でもたくさん行われています。というよりも、触診の連続です。鍼施術だけでなく、指圧や整体の間も常に患者の体に触れていることが当たり前です。

そこからの感覚のフィードバックが、次のアプローチの手掛かりになっていきます。

ファーストタッチ

患者の立場からしたらどうでしょうか。初めて行ったマッサージ店や治療院で、初めて施術にあたる施術者が一番最初にお体に触れるときの感覚から、「この人は安心して施術してもらえる」と感じることもあるかもしれません。逆に施術者が触った瞬間「なんか迷っている?ぎこちない?大丈夫かな?」と感じることもあるかもしれません。

その意味では、個人的に初診の患者に施術をする際は、こちらもどういう印象を持たれるかという事を意識することは今でもあります。それぐらいファーストタッチは気を使うものでもあります。

慣れ

話をもどしてセミナーに参加される方は学生のため、実際に患者に触れる経験は少なく自信を持てなかったり、一所懸命ツボを探そうとしすぎるあまり混乱することもあります。当然なことです。

これを解決するのは「慣れる」ことが結局大切なことになります。しかし、ただ漠然と体にふれる機会を増やしても慣れることは慣れますが、それでは体からの情報をしっかり受け取るという部分が欠けてしまいます。大事なことは、「どんな目的で体に触れ、その時の感覚はどういうものかを経験者から教えてもらった上で慣れる」という事です。

触診はすぐに身につく人もいれば、時間がかかる人もいるでしょうし、センスというものが問われる部分かもしれませんが、適切な経験を通して必ず身についてきます。

今回は施術者という視点で書きましたが、何も施術者だけの事ではなく、「触れる」という事はそれだけでも多くの効果をもたらします。たとえば子供がどこか痛い、不安に駆られるという時に親が手で子供に触れることで痛みが和らいだり、不安が薄くなるなど「手当」にはたくさんの効果があります。

触れることで触れられた人が安心できる、そんな手でありたいと思います。