概日リズムと東洋医学からケア

前回は春という季節にフォーカスして関連する東洋医学上の五臓とその養生法を書きました。

今回は、1日という単位で五臓を考えていきます。

概日リズム

サーカディアンリズムとも言われますが、概ね24時間で移り変わる体内リズムのことです。このリズムを作り出す体内時計は脳の奥、視交叉上核にあります。ここで朝活動しやすい時間の遺伝子、夜活動しやすい時間の遺伝子をコントロールしています。

このリズムは地球の自転とリンクさせるためのものですが、厳密には自転速度は24時間ではないために体のリズムに狂いが微弱に生じます。そのために朝日を浴びるという行為で視交叉上核をリセットさせて24時間に合わせています

時差などはこの概日リズムの一過性の狂いです。

東洋医学と概日リズム

1年を通した季節ごとにも対応する五臓六腑があったように、1日の内でも十二支に合わせて活動しやすい五臓六腑があります。

卯の刻である5時から7時では大腸の働きが活発な時なので、この時間に排便をすることがリズムとして習慣づいている方もいるでしょうし、巳の刻である9時から11時は脾の働きが活発な時です。脾は胃で腐熟させたものから気を生み出す働きですので、この時間がもっとも精力的に活動できる時間帯という事になります。

この他、図には現代の生理反応がでやすい時間帯を示しています。

このような時間と五臓六腑を関係づけて治療に活かす事を子午治療、子午療法と言います。

子午治療

主に運動器系の急性症状に使われることが多いのですが、右の外くるぶしとアキレス腱の間辺りが痛みが出ているケースでは、ここを通過する経脈は、膀胱経です。子午を利用すると膀胱の反対には肺があります。

痛み…右外くるぶしの後ろ⇒膀胱経の経脈上の痛み

膀胱経と対になる経脈は肺経。

施術ポイント…痛みの流れの対になっている経脈の絡穴や郄穴を使います。このケースでは肺経の絡穴である「列缺(れっけつ)」や郄穴である「孔最(こうさい)」に刺激を与えて痛みを緩和させます。この時に痛みが右側にある場合は、それとは逆の左側の肺経のツボを使います

本来は時間を考慮した施術時間はあるのですが、あまり時間的な制約を考えず対になる流れのツボを使うだけでも効果があります。

まとめ

3回ほどに分けて季節や時間と東洋医学を考えてみました。東洋医学は天の気や地の気、そして人の気を考えることを前提としていて自然の流れの一部と人体をとらえるので、季節や時間に合わせてケアをしてみることも体のバランスを整えるきっかけかもしれません。

今後も季節ごとの養生法は書いていこうと思います。