経絡をストレッチ

経絡という言葉を聞いたことはあるでしょうか?鍼灸院や漢方医のところには経絡図が貼ってある所もあるかもしれません(当院には無いです)。

このように経絡は全身を巡っています。分けると経絡は経脈と絡脈という事になり、いわゆる五臓六腑の気の本流が経脈となり、経脈同士を連絡している流れ(支流)が絡脈となります。図で見ていただくとわかるように、経絡の流れは縦方向に流れています。健康を害した時にはこの経絡の流れが悪い、経絡を支配している五臓六腑そのものが悪いなど様々な要因がからみますが、今回ストレッチとして対象にしているのは経絡の流れが悪いことによって、運動器系の疾患(腰痛、肩こり、頭痛など)に対応できないかという視点で書いています

例えば腰痛という状況で、どのような考え方ができるかという事を考えてみます。

腰痛のタイプ

・前にかがめると痛い

前にかがむ時には、体の後ろが伸ばされていきます。このことから、後ろを走っている経絡の流れが悪くなることで気の滞りが起き腰痛となると考えます。後ろを走る経絡となると「足の太陽膀胱経」「督脈」がメインとなります。そして補助的には同じカテゴリーとして「手の太陽小腸経」(足と手の太陽経つながりという考えです)が前かがみの際の腰痛でストレッチをかけてみると良い場所という事になります。

  

左の図は膀胱経は体の背面を縦に走る経脈です。また右の図の小腸経は小指から腕の裏側を走る経脈です。そこで、この部分のストレッチをかける事が対策となります。

前にかがむと腰が痛いのにいわゆる前屈などで膀胱経を伸ばしたら腰が痛くなるかもしれません。そこで膀胱経がももの裏を走っていることを利用してもも裏のストレッチで膀胱経全体の流れを良くしましょうという事を行います。

このようなふくらはぎやもも裏のストレッチで膀胱経を伸ばしてみると腰への負担は少ないと思います。

補助的な小腸経のストレッチは、腕の裏側を通るので、

こんな感じです。

・後ろに反ると痛い

後ろに反った際には体の前面が伸ばされていきます。先ほどの考えから、前を走る経絡のストレッチを行ってみます。対象となるのは「足の陽明胃経」「足の太陰脾経」「任脈」です。またその関連している流れとしては「手の陽明大腸経」「手の太陰肺経」となります。

・横に傾ける、ひねると痛い

この場合は体の側面とお腹周りの流れの問題ととらえます。対象となるのは「足の厥陰肝経」「足の少陽胆経」「帯脈」となり、関連しているのは「手の厥陰心包経」「手の少陽三焦経」となります。

今回は、腰痛のケースのみ一部イラストで載せましたが、首に関しても以下のように対象となる流れ、筋肉は書いておきますので、ご自身で対象の筋肉のストレッチを検索して実際に試してみてください。その他の部位に対してのストレッチは今回書いておりませんので、異常を感じるようでしたら一度ご来院ください。

・下を向いたときに痛み手の太陽小腸経、手の少陰心経、足の太陽膀胱経、足の少陰腎経

 対象ストレッチ上腕三頭筋、三角筋、広背筋、ハムストリングス、ふくらはぎ

・上を向いたときに痛み手の陽明大腸経、手の太陰肺経、足の陽明胃経、足の太陰脾経

 対象ストレッチ上腕二頭筋、大胸筋、三角筋、大腿四頭筋、腸腰筋

・横に倒したときに痛み手の少陽三焦経、手の厥陰心包経、足の少陽胆経、足の厥陰肝経

 対象ストレッチ前腕伸筋群、三角筋、上腕三頭筋、大腿筋膜張筋、殿筋群

 *右に倒した際に痛い場合は左側の対象筋肉をストレッチしてみてください。

・振り向いたときに痛み手の陽明大腸経、手の太陰肺経、足の陽明胃経、足の太陰脾経

 対象ストレッチ上腕二頭筋、大胸筋、三角筋、大腿四頭筋、腸腰筋

 *右に振り向いた際に痛い場合は左側の筋肉を伸ばしてみてください。

経絡をストレッチするという場合に、鍼灸施術の1つの考え方として「上に症状がある時は、施術ポイントを下から行い、下に症状がある時は、上から施術をしていく」という考え方から、首や肩回りの場合はなるべく患部から遠いポイントからストレッチを行っていくと良いと思います。

また、ストレッチの時間はゆっくりと30秒から1分ほど気持ち良いと感じるくらいの強度で行ってみてください。