花粉症と腸内環境

前回は水毒という東洋医学的な見方で花粉症を書いてみました。今回も東洋医学的な見方と腸内環境という点で書いてみようと思います。

肝、肺、脾

東洋医学で花粉症をみたときに、五臓である肝、心、脾、肺、腎の臓器の内、肝と肺、腎の調整を考える事があります。

肝は血や目に関係しており、肺は気に関係し、皮毛(ひもう)に影響をあたえ、皮膚や汗腺などの防御力(衛気)と関係性が深いです。脾は消化と九州に関係し、血を生成し、水の運搬にも作用しています。

かなり簡単に書いてますので、また機会をみてそれぞれの詳しいこと、養生法を書いてみます。

表裏の関係

東洋医学では陰と陽のように、すべてに表裏の関係があると考えます。さきほどの五臓の内、肺と表裏の関係にあるのは大腸となります。

肺は皮毛の防御と関係していると書きましたが、その肺は大腸と関係が深く表裏の関係です。表裏の関係にあるのはお互いに影響を与え合います。ちなみに小腸は心という臓器と表裏の関係です。

現在では、腸内環境を整えることが免疫機能を正常にすることにつながるといわれていますが、東洋医学においても大腸と体の防衛線を担う肺の関係から、大腸をはじめ、腸の環境を整えることは意味があると言えます。

免疫と腸内環境

現代医学においても腸の働きは胃で消化したものを更に分解し体内へ吸収する内臓としてしられていますが、もう1つ体の免疫に大きな影響を与えている内臓という事も知られています。

免疫を説明すると細かい話になりますので、シンプルに体内にある人体にとって異物で有害性のあるものに対して様々な免疫系の細胞(白血球、T細胞、B細胞、NK細胞など)が働き体を防衛するシステムです。花粉症をはじめ、アレルギー疾患はこの免疫の過剰反応とされています。

過剰反応と書きましたが、アレルギー反応を起こすのはリンパ球という白血球の一部です。この免疫に欠かせないリンパ球が過剰に働かないように制御するリンパ球(制御性T細胞・Tregテレーグと言います)があるのですが、この制御するリンパ球が少ないことが過剰反応につながります。逆にこのTregを増やすことができれば過剰反応を抑えることができると考えられています。

今のところTregを増やすことに関わるのは、腸内細菌叢(腸内フローラ)の中で酪酸を産生する酪酸菌と考えられています。

酪酸菌を増やすには?

酪酸菌を含む食物を摂り、酪酸菌のエサとなる水様性食物繊維を意識して摂るという事です。

酪酸菌を含む食物…納豆、ぬか漬け、ナチュラルチーズなど

水様性食物繊維…海藻類、オートミール、ライ麦、大麦、ごぼう、アボカドなど

よく聞く腸には乳酸菌、この乳酸菌には酪酸菌を増やす効果がありますが、腸内にとどまらず腸内で増殖することができない通過菌と呼ばれますので、乳酸菌は毎日摂るようにしてください。



食事や腸の蠕動運動を刺激する運動も継続的に行ってセルフケアを行ってみたり、腸もみのような施術、五臓六腑を整える鍼施術などを受けてみるのも良いでしょう。

ただし、あまり神経質に食事や運動を気にしすぎれば最初に説明した精神的にイライラしたりして、肝をいためることにもつながります。できることからコツコツやってみてください。